2001年の5月から2003年の5月まで、丸々2年間、当時現役の留学生だったトシエさんが MIYACO に寄せて下さった日記です。当時から大分月日が経ちましたので、現在のアメリカ留学・生活事情にそぐわない箇所もありますが、当時の貴重な記録として、また、ひとつの読み物としてお楽しみ下さい。 【目次はこちらです】
アメリカで韓国語を学ぶ
- #56. (2002年8月8日)
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昨日今日とずいぶん涼しいです。日差しは強そうですが、窓を開けていると真昼でも涼しい風が入ってきてクーラーは必要なしです。
去年住んでいたアパートは3階建てで、その3階に住んでいたので夕方でも結構暑かったのですが、今住んでいるのは平屋アパートなので、そういうのも関係しているのかなと思います。しかもアパートの前には木が並んでいて陰を作っています。そんなわけでとてもすがすがしい昨日と今日です。
このあたり (Ohio) は 8月に入ると結構涼しくなります。特に夕方は秋風にも似た心地良い風が吹き、猛暑で毎日大変な日本の方々にちょっと悪い気持ちになります。気温が高くても湿度が低いため、日本の夏のようにだらだら汗をかきません。いいのか悪いのか(それでも去年の夏は結構汗をかいたような…)肌は乾燥気味になり、この真夏でもボディローションは欠かさず使っています。信じられないでしょう…。
さて、何を思ったのか最近「韓国語」を勉強し始めました(「韓国朝鮮語」と言った方が正しいという意見もありますが、この際「韓国語」で統一します)。
私は外国語を勉強するのが好きなんです、実は。大学の専攻はスワヒリ語。他に中国語、フランス語を習いました。フランス語は検定まで取ってます(3級ですけど)。以前は結構しゃべれたんですが、今は練習する機会がないので多分使いものにならんでしょう。で、英語は毎日しゃべってます。
韓国語にはずいぶん前から興味があったのですが、始めるきっかけがなかったのです。昔友達と冗談半分真剣半分で、「現代の世界情勢を知るために韓国語とアラビア語とロシア語が必要!」なんて言ってたことがあります。確かに現在この国ではアラビア語が最大に重要な外国語でしょう。
ちょっと恥かしい話なんですが私の日本で卒業した大学の卒業証書には「アラビア語科卒業」となっています。しかし私はアラビア語なんてハエの耳垢ほども習っておらず、せいぜい「アラームレイコム」(だったかな?)と挨拶できるくらいです。私が4年間勉強したのは「スワヒリ語」なんです。ただ、スワヒリ語は多くの単語がアラビア語起源なのと、どちらもアフリカの言語ということで、私が入学した当時はスワヒリ語科はアラビア語科に含まれていたんです。ちゃんとした独立語科だったのですが、科の名称が改められて名実ともに独立語科となったのは、卒業する少し前です。でも、こういうのは「事務上の処理」とか何とかあって、私達は入学した当時の語科名称を使用しなければならず、「アラビア語科卒業」となってしまったのです。卒業証書には一言も「スワヒリ語」の文字はありません。同級生達と文句を言ったものですが、これはどうにもなりません。
と、話しは横道に反れましたが、アラビア語はする気がないので、文字さえ覚えれば、発音も文法も比較的簡単と言われている韓国語を始めることにしたのです。実際に始めたきっかけはいろいろあります。まず、近所にあるオリエンタルフードショップが韓国人の経営で、置いてある商品も韓国のものが多いんです。
中国の物って漢字の意味からなんとなく内容がわかったりしますよね? 実際中国語の説明を読んで料理したりします(実際に習ったから少しわかるというのもありますが)。でも、韓国の物は文字が読めないとその内容がわからない…。で、そういうのが読めたら買物も楽しいだろうな、と思ったんですね、単純に。それにこういうお店には、韓国のドラマのビデオなんかもたくさん置いていて、将来はビデオ鑑賞なんかもできればいいなと考え中です。
他のきっかけとして、私の先生の1人でアドバイザーである Dr. シュミットは韓国語を研究している人なんです。で、私が今やってる研究にあたって、先生が持ってた韓国語に関する資料なんか読んでるとますます興味がわいてきたんです。それに彼女の、「文字を覚えるのは簡単よ」の一言で、「アメリカ人が簡単って言うねんから、日本人の私にはもっと簡単やろ」と変に勇気付けられ、本格的にやってみようかなと思いだしたんです。
しかも、今度新しくやって来る博士課程の学生で、私が「おねーさんアドバイザー」としてお世話してあげる人がなんと韓国の人だったんです。これも何かの縁でしょう。文字を自分なりに勉強し始めたとき、例のお店へ行ってある袋物食品の「うどん」って文字が読めた時は嬉しかったです。しかしよく見ると、袋の端に日本語で「うどん」と書いてありました…。
本屋でテキストを探してみたのですがあまり良いのがなく、インターネットでいろいろ探しているうちにとても良いソフトを見つけたんです。しかも無料ダウンロードができるんです。苦心惨憺の末ダウンロードを終え、現在そのソフトで毎日勉強中です。文字だけでなく、発音も聞ける、そしてテストもあるという(本当に無料でいいの?)という優れものソフトです。全8課で初心者の私には十分の内容です。ソフト製作者は本当に寛大な方だと思います。
今は発音を聞いて文字が書けるようにと、単語を少しづつ覚えていってます。結構日本語の発音に近いものがあって、覚えやすいと感じるのと同時に2つの言語の交流の歴史を感じます。こんな身近で比較的簡単な言語をどうして日本の教育で教えないんでしょう? 英語は日本人にとって習得が一番困難な言語と言われています。もし韓国語が外国語の授業にあったらもっと世界を理解できたのではないでしょうか。少なくとも韓国語を話す人の言うことは理解できるわけですから。それに日本人の外国語アレルギーも無くなったかもしれません。長年英語を第1外国語としてきたから、いつまでたっても「外国語」 が話せない国民なんです。韓国語を勉強したら欧米諸国民への(アメリカ人はともかく、ヨーロッパの人々は、何カ国語も話す人が多いです)劣等感が消えるかもしれません(もしその人が持っていれば、ですが)。
学校が始まると毎日ゆっくり外国語の勉強もできないと思います。今のうちにできるだけたくさん単語を覚えようと思います。さて、いつまで続くことか…。【第57話へ】